第四章
統合編

やっと統合編に入ったよ/ナナミ

炎の英雄の待つ地の最奥についたクリスさん、ヒューゴ君、ゲドさんの三人迎えたのは、チャシャ村の族長サナさんだった。彼女、炎の英雄の奥さんだったのね。
サナさんと同じ時の中を生きていきたいと願った炎の英雄さんは、古代シンダル文明の秘法を用いて普通に歳を取っていったんだって。だから彼はすでにこの世の人じゃなかったの。
けど、主は死んでしまっても紋章の方はまだ残っているから。集まった人達の中に紋章を継承したいっていう人がいたら試させてくれるってサナさんは言うんだ。

え~っと、ここで『真の炎の紋章』を継承する人を選択すればいいのね。
誰がいいと思う?カイネ。

カイネ「やっぱりここはヒューゴ君で決まりでしょう!なんたって彼が一番の未熟者ですからね~(爽)」
ヒューゴ「……って、おい!そんな基準なのか?!」

カイネ「もうちょっと言うと、まず、ゲドさんについてはすでに『真の雷の紋章』を持ってますから改めて『真の炎の紋章』を継承したりなんかすると雷さんに拗ねられちゃいそうでしょう?」
セラウィス「スキル値から考えてもゲドは炎より雷の方が向いているみたいだしね」
カイネ「それに、残った一人が『真の水の紋章』を引き継ぐだろうことは想像に難くないですからね~。と、なるとお父さんとの関係から言ってもユンとの関係から言っても、水の継承者にはクリスさんになって欲しいじゃないですか。イメージからしてもクリスさんは炎よりも水って感じがしますし。ってことで余ったヒューゴ君が真なる炎の紋章の継承者です。おめでとう!!」

ヒューゴ「ぜんぜん嬉しくないんだけど……」

それじゃ、ヒューゴ君を選択するわね!
お祝いに、後でお姉ちゃんがケーキを焼いて届けてあげるわ!!

ヒューゴ「……アンタ達、俺の言うこと全くきいてないだろう……(涙)」

サナさんが言うには紋章を継承するにあたって、試練を受けなければいけないらしいの。
案内を頼めばすぐに受けられるみたいなんだけど……ここにくるまでにエリアボスとの闘いなんかもあって少し疲れてたから一回外に出て休むことにしたわ。一度奥に到達すると途中の洞窟を経由しなくても出入りできるのね。
チャシャ村とアルマ・キナンで試練のための装備を調えてから、サナさんにお願いして固く閉ざされていた扉の向こう側へ案内してもらったの。

試練は、巨大な火龍との戦闘で勝つことだった。ゲドさんが真の雷の紋章を3回ぐらい唱えてクリスさんが白鷹の紋章を使ったら割とあっさり倒せちゃった!……あれ?そういえば、ヒューゴ君はその間なにをしてたっけな?

ヒューゴ「……おれは風の紋章で回復をしてた」
カイネ「主に自分に対してだけですよね。他の人達よりヒューゴ君ってばレベルが低いから~」
ヒューゴ「あんた……なんかおれに恨みでもあったりする?」
カイネ「いいえ~、別になあんにも。反応が面白いからつい苛めちゃうだけです。これも愛情表現です♪」
ヒューゴ「そんな愛なんていらない……(泣)」

ふたりとも随分と仲良くなったのね。お姉ちゃん嬉しい。ご褒美にグレミオさん直伝の特製シチューもつけてあげるわね!

カイネ「と、『特製』……(汗)ナナミ、できればそれ余計なモノを入れたりせずに、グレミオさんのレシピ通りに作って欲しいな~なんて……」

それじゃつまらないじゃない!やっぱりオリジナリティがなくっちゃ!!

ヒューゴ「つまらないとかいう問題なのか?というか、余計なモノってナニ?!」

もー、二人とも!話はまだ終わってないんだから少し黙ってて!
無事、紋章を継承できたヒューゴ君が洞窟から出ようとすると今度は、仮面の神官将達が目の前に現れたの。彼等の目的も真の炎の紋章だったのね。
連戦で厳しいかなって思ってたんだけど、やっぱりゲドさんの真の雷の紋章とヒューゴ君が新しく継承した真の炎の紋章、それにクリスさんが宿していた水の紋章の回復技によって彼等を倒すことに成功したわ。前代の炎の英雄さんも力を貸してくれていたみたい。 炎の紋章は一時期ヒューゴ君に預け置くって言い残して神官将達は帰っていったの。

口は悪かったけど、昔はこんな捨て台詞が似合う人じゃなかったのに……。すっかり悪い人になっちゃったんだね。それってカイネが言ってたとおり『反抗期』だからなの?

セラ「…………反抗期……?」
仮面の神官「………………」

無事に洞窟を出て、チャシャの村に戻ってみるとゼクゼンの人達とグラスランドの人達の間で揉め事が起こってたわ。でも、両国が協力しなければ勝ち目はないって告げるサロメさんの言葉に、グラスランドの人達は耳を貸そうともしないの。ハルモニア軍はすぐそこまで来ているのに。
こんなことで大丈夫なのかな…………。

2002/12/02 (Mon)
  

ようやく軍としての体勢づくりが始まりました/マッシュ

チャシャクランとダックラン、2つの村で行った攻防戦はグラスランド側の惨敗でした。
連携もなく隊としての統率も取れていない寄せ集めの集団が、ハルモニア本国から派遣された精鋭に敵うはずもありません。
グラスランドの戦士達がそのことに気付いたのはダックの村を撤退した後、クリス殿の好意によりブラス城へ身を寄せることが許された時でした。
時間は掛かりましたが、今ならばまだ挽回する機もあるはず。
しかしながら、その礎となるべき戦士達の志気は下がっておりました。
無限に投入されてくるハルモニアの軍兵──その過半数が幻影であることはヒューゴ殿とクリス殿の活躍により判明いたしておりました。ですが、幻影を作り出しているのはたった一人の魔導師なのです。そのような力を持つ者達がいる大国に、通常の人間でしかない自分達が太刀打ち出来るはずがない。誰しもがそう考えていました。

彼等の負け意識を払拭し、ひとつの軍としてまとめ上げるための要となるべきもの。それこそが『炎の英雄』なのだとシーザーは言います。迷い戸惑いながらも英雄の志を受け継ぐことを決めたヒューゴ殿は、一同の前に立ち呼びかけをおこないました。
それは、多分に先代の英雄と紋章の威光に頼ったものではありましたが、彼の皆を護ろうとする真っ直ぐな想いと視線が話を聴く者達の心を打ちました。

カイネ「青春ですね~、若さっていいな~」
セラウィス「頑張ってるみたいだね、ヒューゴも」

ヒューゴ「……のんびりお茶しながら評論されても……」

カイネ「誉めてるんじゃないですか。僕にはとても真似できませんしー」

ヒューゴ「……そういえば、アンタ達はどうやって軍を束ねてたんだ?参考にさせて欲しいんだけど?」

それは……聴かない方がよろしいかと。

ヒューゴ「何で?」

カイネ「僕は単純ですよ。こうやって~(メガホンを取り出し) 『従業員の皆さ~ん、遠征の日が近づいてきました。今回もせーぜ、武勲を立ててくださいね。なお、働きの悪い人にはもれなく辺境地送りが待っています。テント暮らしと星空の下ひとりで行うイモリのバーベキューを楽しみたい方はぜひお試し下さい。それがいやなら死ぬ気で頑張りましょう♪』……という感じでしたね。本当に何人か辺境地送りにした後は、皆さんそれはそれはよく働いてくれましたよ」
セラウィス「そういえばいつだったか、すごく窶れた感じの人達がカイネに取りすがって本拠地に戻ってこれたことに感謝していたことがあったけど……」
カイネ「ああ、それ辺境地で3ヶ月ぐらいサバイバルを楽しんだ人達ですよ」

ヒューゴ「…………(汗)あ、あんたも……そうなのか?」

セラウィス「え?僕は別に、特には何もしてなかったけど。ただ、『皆、頑張ってね(小首を傾げてにこっと)』ってお願いしただけで……」

ヒューゴ「………………それは、頑張るだろうな(ぽつり) うん、絶対頑張る!!(微妙に顔を赤らめて)」

カイネ「セラウィスさんにお願いされて逆らえる人なんて、まずいないですからね~」

ヒューゴ「けど、それでも勝てそうもなかったら?その時は、どうするんだ?」

二人『その時は僕が直接出ればいいだけのこと』

セラウィス「だよね」
カイネ「ですよね~♪」

ヒューゴ「……え?(汗)」

ヒューゴ殿……世の中には知らなくてもよいことがあるものです。あまり深く考えずに、ご自身が出来ることを精一杯なされてはいかがでしょうか?
このお二方に倣うのは、少々……人としてどうかと……。

ヒューゴ「……………………うん、そうする」

その素直さを失わずにいてくださると嬉しいですね。

勢いづいたハルモニア軍はブラス城までをも一気に攻め落とすつもりのようでした。
しかし、ブラス城はもともとグラスランドとの戦の為に作られた要塞。地形の利と一致団結した者達のこれまでとは異なる動き、それにヒューゴ殿の炎の紋章による牽制が相互作用をもたらしてハルモニアに一時撤退を促すことが出来ました。
これによってグラスランド・ゼクゼン連合軍の意気が戻ったようです。

問題は、彼等が腰を落ち着けるべき本拠地をどこにするかということでしたが……。チャシャの村、ダックの村は地の利が悪く、ブラス城はゼクゼンを護るには適当ですがグラスランドには視界が届きません。大空洞にいたっては、人が長い時間住まうには適さない場所です。
一同が頭を悩ませていたとき、ビュッデ・ヒュッケ城を使われてはどうかとトーマス殿が申し出られました。グラスランドとゼクゼンの共有地として立つこの城は、50年前の英雄が拠点として使った場所でもありました。
こうして、舞台はビュッデ・ヒュッケ城に移され、新たなる炎の英雄の元再び炎の使い手が結成されたのです。

2002/12/04 (Wed)
  

物語も佳境となってきました/ジョウイ

カイネ、そろそろ解説を始めないといけない時間じゃないのかい?カイネ?……いないな。どこに行ってしまったんだろう……。しかたない、41回目は僕、ジョウイが代わりを務めさせて頂くことにします。

新たなる炎の使い手達がビュッデ・ヒュッケ城に腰を落ち着けてから数日が経った。軍の戦力を平均化するため、レベルが不足しているメンバーを連れて修練に出ていたヒューゴは大空洞に立ち寄った際、高速路の方へと走っていくジンバを見かけたんだ。
その時はダックランにでも用があるんだろうとさして深く考えもしなかったのだけれど。城に戻ってみるとシーザーが彼の伝言を持って待っていた。聞くところによると、高速路の奥、封印されたシンダル遺跡で眠りについていた真の水の紋章が解き放たれようとしているらしい。
なぜ彼がそんなことを知っているのかと訝しみつつ、ヒューゴ達は急ぎ踵を返してジンバの後を追いかけ……て行くべきだと思うんだけど……。君達は一体何をしてるんだい?

ヒューゴ「風呂敷犬探し」

風呂敷……犬?

ナナミ「さっきカイネから聞いたんだけどね、いま本拠地で飼っているコロクには4人の仲間がいて、それぞれ数字の入った名前を持ってるんだって。仲間にするにはその名前の順番通りに探し出さないといけないらしいの。シンダル遺跡にはコゴロウって名前の犬がいるみたいだから、彼に会う前に他の犬達を仲間にしておかなくちゃね!」

そんなこと後回しにすればいいんじゃ……。

ナナミ「駄目よ!だって風呂敷犬のいるセナイ山には脚本6があるんだもの!!4章の間に取りに行かないと手に入らなくなっちゃうみたいだし、それなら何回も山道を往復するよりも一緒に済ませてしまった方が早いでしょう」

そう言われれば、そう……かもしれないけど……。
でも、急いで駆けつけないとジンバが危ないんじゃないのかい?

ヒューゴ「平気平気、ジンバなら意地でも自分の見せ場がくるまで生き延びてるよ」

と、とにかく無事犬を確保しセナイ山のボスを倒して脚本を手に入れた後、ようやくシンダル遺跡へと入っていく覚悟ができた。

遺跡の途中で待ち伏せしていたセラを退け、更に奥に進んでいくとそこでは巨大な魔物……水龍が暴れていたんだ。
仮面の神官将はこの化身の前に撤退を余儀なくされたようだった。

セラ「……ルック様……」

そう、仮面に隠された神官将の真の姿。それはかつての英雄達と共に闘った風使いの少年ルックだった。
カイネから聴いた話では、『レックナートさんの下僕のくせに口は悪いわ態度は悪いわ働きは悪いわでまったく使い物にならないんだよね~。しかもセラウィスさんとなにげに仲良かったりするし~。第一、石版の守人とかいってるけどあんなもの誰も盗んだりしないよね。まあ、星見様のところで皿洗いをしているよりは石でも眺めている方が当人にとってはよっぽど幸せなんだろうけどさあ』とかって言ってたけど……そうか、石を眺めて過ごす日々に寂しさを感じるようになってしまったんだね。
その気持ちよくわかるよ!

ルック「……勝手にひとりでわかってれば?」
セラ「ルック様……辛い幼少期を過ごされたんですね……(涙)」

ジンバ「それはいいが……いい加減、俺を助けちゃあくれないか(汗)」

ごめん忘れてた。おそらくは紋章の力の一部が具現化したものであろう水龍を倒し、後から駆けつけたクリスやルシアと合流して祭壇の方へ走っていくと暴走し掛けている紋章の前に倒れ伏すジンバの姿があった。

彼こそが『真なる水の紋章』の主だったんだ。
50年前、炎の英雄やゲドと共に闘った炎の使い手のひとり。そしてクリスの父親、ワイアット・ライトフェローの名前を持つ者。
戸惑いを隠しきれないクリスに、ジンバは真の水の紋章の暴走を止めるよう頼み込んだ。アルマ・キナンの口寄せの巫女に認められ、真の水の紋章に選ばれた彼女ならば事態を好転できることを彼は知っていたんだ。
クリスは彼の言葉に従って紋章を食い止め、新たなる真の水の紋章の主となった。ジンバ……いや、ワイアット・ライトフェローは紋章との繋がりが完全に切れたことで不老不死の呪縛から解き放たれ、大気へと還っていった。
クリスが望んでいた父との再会は、このような形ではなかっただろうに。気の毒だな。
けど、ワイアットが最後まで自分の力だけでなんとかしようとしていたのは、クリスが紋章の呪いを継いでしまわぬよう……辛い運命を背負わなくて済むようにとの願いからだったと思うんだけど、どうかな?

2002/12/06 (Fri)