愚民共の行動など、この俺が解説するまでもないわっ!
ジル「お兄様……それではお読みになってくださっている方々に何も伝わりませんわ。せめてヒューゴ編第三章に入ったことぐらいはお話してもよろしいのではありませんか?」
必要あるまい。内容は前回のトーマス編と完全にリンクしている。こちらはヒューゴ視点によって進められてはいるが、取り立てて口に乗せる程の事は何も起きてはおらん。
ジル「ヒューゴさんとトーマスさんが戦の前夜お話をされていましたわ。ご友人の命を奪ったゼクゼンを許せないと仰るヒューゴさんに、トーマスさんはお母上をグラスランドの盗賊に殺されていることを語られました。それでもトーマスさんはヒューゴさんを安全に逃がすために骨を折られています。おそらくこの一件によってヒューゴさんは敵に対しても憎しみ以外の感情を知ることになるでしょう」
下らん。人の交流などなんの役に立つ。戦争は力と策が全てだ。強い者が勝ち弱き者が敗残する!自明の理ではないか。
とはいえ、愚かさからいえばあの評議員とやらのほうが上だな。グラスランドにハルモニアを引き入れようとは、己が家の庭に毒蛇の群れを誘い込むようなものだぞ。
ジル「ゼクゼンはグラスランドとの拮抗した関係に飽いていたのでしょう。ハルモニアを使うことによりグラスランドを制する足がかりになれば、と考えられたのではないのですか?」
莫迦な奴らだ。グラスランドを制圧したハルモニアが次に狙うのが己等の国であることに気づいてもいないとは。
セラウィス「ハルモニアがゼクゼンを侵略したとしても、自分達は相応の地位に留まれるように手を回しているってことじゃないのかな?ルカならどうする?自分達だけでは押さえつけることのできないグラスランドを手に入れる為に」
グラスランドに対して良い感情を持ってはおらず、ゼクゼンが付け入る余地のある国といえば、ひとつしかあるまい。
セラウィス「ティント共和国」
ティントの目下の悩みはグラスランド盗賊団による略奪行為と聞く。幾度となく積み荷を奪われ煮え湯を飲まされているところへきて、グラスランド内で遊び回っていた大統領令嬢が突如消息を絶ったとなれば、さて。大統領の心情はいかなるものであろうな。
ジル「まさか、グラスランドの盗賊を装って、ご令嬢を誘拐なさるおつもりですか?」
セラウィス「グラスランド盗賊団の名で、数回に及び身代金の要求がティント大統領の元へ届けられる。けれどなにかしらの理由により、身代金の受け渡し場所に犯人が現れることはない……というところかな?」
端金で尻尾を捕まれるわけにはゆかぬ。グスタフの怒りを煽る為の手段となればよいのだからな。そして、緊張が最高に達したところで大統領令嬢の亡骸を発見させればよい。
ジル「まあ、生かして帰してあげるわけにはいきませんの?」
どこから綻びが生じるか知れんからな。口を封じるためにも殺してしまった方が後顧の憂いがないだろう。より凄惨な姿で発見させる方が効果も上がるしな。
セラウィス「あとは、怒りに駆られたグスタフがグラスランドに軍を送り込むのを見計らって、ゼクゼン側は協力を申し出るだけ」
愛娘を殺された憎むべき相手を滅ぼしたところで、グスタフは残った土地に手を伸ばそうとはしないだろう。ゼクゼンは労せずしてグラスランドを手に入れることができる。
セラウィス「問題は周囲の国の出方だけれど、ティントと協力体制を敷いておけば交渉次第でデュナンの力を借りることもできるだろうから……」
ジル「ですが、それは人道にもとる行為ではありませんか?」
ふはははは、何を言っておる。戦争に必要なのは勝つか負けるかだ!手段など選んでなんになる!!
セラウィス「戦争という行為自体綺麗なものではないしね。信念を貫くも正道に則るも勝利を求めるも……選ぶのはその人次第ということだよ。もちろんただひとつを選んだからといって全ての者がそれを手に入れられるわけではないのだけれど……」
ジル「お兄様は信念を貫かれました。わたしの夫は負けることを承知で、優しき心を抱き続けたまま闘い続けた……。では、あなたは?あなたと……カイネ様は、何を求めておられましたの?」
セラウィス「カイネのことはカイネに聞いてみるといいんじゃないかな。僕は……内緒」
カイネ「はいは~いっ!!僕はセラウィスさんをお心を射止めるため『だけ』に頑張りました~♪」
ジル「…………」
セラウィス「カイネ?どうしたのこんなところに」
カイネ「帰りが遅いから迎えにきたんですよ~。駄目じゃないですかセラウィスさん。こんな人と係わっちゃ~。目つきの悪いのが移っちゃいますよ~~?」
……性格的には、俺よりもお前の方がよほど問題があるのではないか?
カイネ「失礼な!僕は善良な一般市民ですよ!さあ、帰りましょうセラウィスさん。今日は僕がお夕食を作りますね♪」
ジル「……善良な一般市民…………?」
あやつ、己のことを何か勘違いしているな。
ええっと、今回はビュッデヒュッケ城から無事脱出し、ヤザ平原を抜けたところから話が始まります。
随行者となっていたアップル達とはここでお別れすることとなりました。
ジョー軍曹「ダックの村へ行きたいって?あんなところなんの変哲もない普通の村だと思うけどな」
アップル「そうかしら?」
シーザー「……アヒルの村ってだけで充分変わってると思うぜ俺は(ぼそり)」
と、いうわけで名残惜しみつつご挨拶を交わして、アップル達はアヒルさん見物にヒューゴ君達は大空洞へと戻りました。さすがに路銀が乏しくなったのでリリィちゃん達は資金調達にお出掛けです。
リリィ「いーい?炎の英雄のことが何かわかってもわたし達を置いて勝手に行ったら駄目なんだからね!」
な~んて『お願い』(?)されちゃったので待ってたんですけど、1週間経っても帰ってこないんですよ。どうしましょうねー。
ジョー軍曹「リザード達もカラヤの戦士達も出払っちまってるし、ここにいてもやることがないな」
……あれ?なんだかおかしくないですか?
ヒューゴ「おかしいって何がだ?」
トーマス君編の最初でイクセの村に行ったときには、すでに戦火の痕があったんですよ。宿なんかも「ところどころ壊れててごめんなさいね」みたいなこと言われましたし。
それで、ヒューゴ君達が巻き込まれた戦争イベントでは、クリスさんはすでに旅に出られていて評議員への告発状はサロメさんあたりがお受け取りになられたわけでしょう?つまりこの時点ではイクセイベントはとっくの昔に終了していたってことなんですよ。
なのに、リリィちゃん達と大空洞に戻ってきてさらには1週間経ってもまだトカゲさん達の部隊が帰ってきてないっていうのはどうしてなんでしょうね?
ヒューゴ「余所を回ってるんじゃないのか?」
その可能性もありますけど……大空洞に残ってる皆さん達はイクセのことしか仰ってませんし、誰も知らないっていうのは変です。しかもアップル達と別れるときにヒューゴ君ってばお城を新しい名前で呼んじゃってるんですよねー。
トーマス君がお城の名前を決めたのはこれより数日後、正騎士団の人達がビュッデヒュッケ城を訪ねた時だったっていうのに……なんで先に知ってるんですか?
ヒューゴ「………………(汗)」
ジョー軍曹「ま、まあ。そうだな……しかし、なんだ。ここで悩んでいても話は進まないしな」
ん~、まあ。そうですね。仕方ないので不条理には眼を瞑って先に進むことにします。
なんにもすることがないヒューゴ君達は、リリィちゃんが商隊との待ち合わせ場所だと言っていたブラス城にお迎えに行ってみることにしました。そこで、出会ったのはカミューさんと出身を同じくする騎士・ムーアさんと、アヒルさんを『うまそう』と称する強者・ハレックさんのお二人です。
いいんですけどね……ハレックさん、さすがに生は拙いですよ。せめて火を通さないと……。
ハレック「なんだ、生だと不味いのか?」
ジョー軍曹「…………(脂汗)」
まあ、これだけ目立つ面子が揃っていれば騎士団の人達の眼に止まらないはずもなく。城内から出てきたロランさんやレオさんと一戦交えることになったり、何故かその後、リリィちゃんのことを忘れ去ったように、知り合ったばかりの人達と一緒に炎の英雄を捜すことになってしまったりとかしたわけなんですけど。
そんなことはどうでもよくなる衝撃の新事実が発覚しました!
ヒューゴ「俺はカラヤクラン族長の息子ヒューゴで、こっちは……」
ジョー軍曹「ジョルディ」
ジョルディ!?じょるでぃなんですかっ?!!!!ジョーって愛称だったんですか?!
ジョー軍曹「な、なんでそんなに連呼するんだ。そんなに変な名前か?」
ヒューゴ「まあ、気持ちもわからなくないけど……」
いや、っていうかね。なんで軍曹なのかな~とか。軍曹なら他の階級の人達がいるはずなのに、アヒルさん村にいるのは村長とか宿のご主人とか、宝くじ屋さんとか全然軍隊とはかけ離れた人達だけなんだよね~とか、そういった疑問がこの名前を前に、一気に吹き飛んでしまったような感じなんですよ。
ジョー軍曹「だからなんで俺の名前ひとつでそこまで……」
ヒューゴ「気持ちはわかるぞぉ……(ぼそり)」
衝撃冷めやらぬ胸に手を当てつつ、呆然としながらハレックさん達と大空洞に戻ってくると、今度はアップルがトカゲさん達に囲まれていました。どうやら服装からゼクゼンの人間と勘違いされてしまったようです。
ジョー軍曹「おい、この名前のなにが悪いって言うんだ!」
ヒューゴ「……悪いってわけじゃないけどさ。な、フーバー」
フーバー「キュィィィィィィィィィィ」
アップル「アヒルなんてジョーでもジョルディでもフォアグラにしちゃえば同じでしょう!それよりも早くわたしを助けて頂戴!」
ムーア「アヒル料理といえば、やはり北京ダックなのではないですかな?」
ハレック「どれもうまそうだ……」
ジョー軍曹「お前等…………(泣)」
はいはいそこ、ダックハルバートの穂先で大空洞の地面掘り返しちゃ駄目ですよ。可愛らしい冗談なんですからあまり気になさらないでください。
ジョー軍曹「本当に冗談か?」
ハレック「俺は生でも食べられるぞ!」
お腹が空いているらしいハレックさんと彼の目線に怯えているアヒルさんを余所に、トカゲさん達に事情を説明してアップルを救出しました。彼女はチャシャクランの危機をヒューゴ君達に伝えに来た模様です。
けれど応援を頼もうにもカラヤクランの者達も、トカゲさん達も出払ったままなんですよね。しょうがないので、ヒューゴ君達だけ先にチャシャに向かうことにしました。
なるほど、このイベントを起こすためにトカゲさん達の存在が邪魔だったわけなんですね。まさかイクセイベントで全滅させちゃうわけにもいきませんもんね~。あはは~。
ヒューゴ「そんな身も蓋もない(汗)」
さあ、ルースさんに言伝してチャシャクランまで遠足に出掛けましょう!
ヒューゴ「俺、炎の英雄みたいになりたいんだ」
ルースにチャシャクランへの出立を告げに行ったヒューゴは、その理由を問われてこんなふうに答えた。彼は英雄になりたいんだね……英雄なんてそんないいものじゃないと思うけど……。
カイネ「ヒューゴ君は要するに、『強くて格好良くってみんなを護れる立派な人になりたいです』って言ってるわけでしょう?物語に出てくる勧善懲悪な正義の味方の勇者さんを目指してるってことですよね」
ヒューゴ「そこまで極端なことを言ってるわけじゃ……(汗)」
カイネ「(ヒューゴ君の口を押さえて黙らせ) 子供らしくって可愛いじゃないですか~。僕だって小さな頃は英雄譚を聞いてその主人公に憧れたりしましたしね~」
そうかな……うん、そうかもしれないね。
ヒューゴ「おい、勝手に話を……もごっ☆○▲×◇!!?」
カイネ「そうだ!今日はヒューゴ君達がせっかく道が通じたんだからって、カレリアまで道草をしに行っちゃいましたから、その間に他の方達にもインタビューしてみましょうよ」
インタビュー?
カイネ「はい。幻水3の出演者さんたちに質問です。『子供の頃、どんな大人になりたかったですか?』回答者1番手は遙か過去に思いを馳せつつ、でもあんまりにも昔のことだから思い出せるかどうかわからない年長者ゲドさんです!!」
ゲド「…………そこまで言わなくてもいいだろうに。昔の夢、か。そうだな、これという明確なものはなかったが俺の友人というのが一緒にいればなんでもできるという気にさせてくれる奴でな。奴等と一緒に何か大きな事をやらかしてみたいと思っていた」
カイネ「うわ~、すっごい若者らしい漠然とした夢ですね~。そういうのって大抵が国破れて山河あり(謎)な結果に終わっちゃうんですけどね~。ほら、夢を抱きつつだらだら生きてしまい気が付いたら歳を取ってしまってた~とかそういう感じで。よかったですね~、戻らぬ若き日々を無駄に過ごさなくて済んで~」
ゲド「それは、誉めてるのか?貶してるのか?」
犯罪方面に走らなくてよかったよね。(さりげなく酷し)
カイネ「あはは~、セラウィスさんってば、なに仰ってるんですか~。この人、犯罪にはしっかり手を染めてますよ~(爽)」
トーマス「ああいう大人には、なっちゃだめなんだよセシル」
セシル「はいっ!気を付けましょうね、トーマス様」
ゲド「………………(涙)」(←なにやら壁に向かって呟いてます)
カイネ「落ち込んでいる人は放っておいて、次……は、むさ苦しい男の苑ゼクゼン正騎士団に咲いた一輪の花!クリスさんです~♪」
ゲド「俺と紹介の口上に差がありすぎないか?(ぶつぶつ)」
クリス「夢と言えるようなものは何もない。だた、父の……ライトフェローの名に恥じぬような立派な騎士になろうと努めるのが精一杯だったからな」
それならクリスは夢を叶えたんだね。望み通り立派な騎士になれたんだから。
クリス「そうだろうか……今の私を見て、父は何と言うだろう。評議会の言いなりになるしかない不甲斐ない奴だと思われていたりはしないだろうか」
カイネ「それについてクリスさんのお父上からお言葉を頂いてます。(メモを拡げ)ええっとですね~『クリスの将来について?……娘はどこにも嫁にやらん!』……って、なんですかコレ?」
よほど一人娘であるクリスが可愛いんだろうね。手放したくないんじゃないかな。
カイネ「家出中なくせに勝手ですね~。あ、でもセラウィスさんのお父上とかも同じ事いいそうですよね。『セラウィスの婿になるつもりなら自分の屍を乗り越えていけ!!』とか。もっとも、それだとクリスさんもセラウィスさんも既に一騎打ちで勝利を収めちゃってるわけですから、お父上に何か言う権利は残ってませんよね~」
クリス「既に勝っているとは、どういう意味だ??」
カイネ。まだ物語は途中なんだから余計なことを言ったらだめだよ。
……それに、僕の婿って何?僕が貰うならお嫁さんでしょう?
カイネ「は~い。ごめんなさ~い。僕は婿でも嫁でも一向に構いませんよ~。輿入れ準備はバッチリ整ってますからいつでもお声掛けくださいね」
……?なんのこと?
カイネ「詳しくは二人っきりになったときにご説明しますね。……っと、思ったよりも長くなっていまいました。ヒューゴ君達がカレリアから戻ってくるまでにはもう少し時間が掛かりそうですし、この続きは次回に持ち越すことにしま~す」
は~い、前回に引き続き幻3の出演者に将来の夢をインタビューしていきます。
3番手にご紹介するのは身に着けているお面は一体どこで購入したものなのか、その出所が危ぶまれている仮面の神官将さんで~す!!
セラウィス「危ぶまれてるって、どうして?」
だってもし、コレはご主人様のコレクションの中から漁ってきたもので~す♪とか言われたら怖いじゃないですか。昼夜問わずあんな仮面被ったおばさんにストーキングされちゃったら、心臓に悪いなんてもんじゃないですよ!
セラウィス「……そうだね」
仮面の神官「あっさりと信じないでくれる?違うに決まってるだろ」
それはよかった。と、ひと安心したところで将来の夢についてなんだけど………………。……ええっと……。……ごめんなさい。僕が悪かったです。頑張っておさんどん続けてね。
仮面の神官「何が言いたいんだい……(怒)」
いやまあ……うん。夢があろうとなかろうと君が下僕であることに代わりはないんだし……お疲れ様。皿洗いの仕事残ってるんだよね。もう帰ってもいいからね。
仮面の神官「……………………」
さあ、気を取り直して。次は外伝の時に比べて目つきがすけべーな感じになったと評判のナッシュさんです!
ナッシュ「評判?そ、そうなのか……?(汗) 俺は至って普通だな。可愛い嫁さんでももらって幸せな家庭を築ければと……」
思って結婚したらやっぱり尻に敷かれてるわけですね。
ナッシュ「やっぱりってなんだ!?俺だってなあ、時には……っ!!」
強気に出てみたら奥さんに臍を曲げられて平身低頭で謝り倒し、3日3晩かけてやっと許してもらったとかそういうオチじゃないんですか?
ナッシュ「なんで知ってるんだ……(滝汗)」
……うわ~、予想に違わぬ人ですよね、この人も。セラウィスさんは?子供の頃なにかしたいこととかってありました?
セラウィス「僕?僕は、そうだね……。親友と一緒に旅に出たかったな。世界中を巡っていろいろなものを見たり、冒険をしたりして……なんて子供っぽい、かな?」
そんなことありませんよ!すっごく素敵で可愛らしい夢です~。
セラウィス「ありがとう。カイネは?子供の頃何を考えてた?」
僕ですか?僕は平凡ですよ。ユニコーン隊から一般の兵隊になって、中間管理職ぐらいまで昇進して、お給料を溜め込んで。適当なところで退役したらどこか……誰も知らない……誰もいない場所に行ってみたかったですね。
セラウィス「……そうしたら、もう戻ってはこないの?」
さあ、どうだったでしょうか。昔の夢ですから。今の夢はもちろんセラウィスさんと幸せ!!になることですしね♪
セラウィス「そう……なの?」
そうで~す♪インタビューとしてはこんなもんでしょうかね。……っと、忘れてました、最後に3の天魁星、トーマス君に締めて頂きましょう。ズバリ!子供の頃の夢はなんでしたか?
トーマス「僕ですか?……えっと、ゼクゼンへ出て一旗揚げ、故郷に錦を飾ること、だったかな」
セシル「うわ~、トーマス様すごいですぅ~~」
トーマス「ありがとうセシル。だから僕の父がゼクゼンの評議会長だって聞かされたときは、すごく嬉しかったんだけど……人生ってままならないものだね」
…………もしかしなくても、2章で『父に会ってみたかった』と言っていた理由はそれですか?(汗)
トーマス「はい……。やはり自分の力で財をなしていくのが醍醐味というものでしょうから、多くは望みませんでしたが、店のひとつを開けるぐらいの資金は提供してくれるといいなあ……と」
セラウィス「その代わりにお城の管理を任されてしまったんだよね」
トーマス「ええ、こんな場所、売り払っても大した金額にはなりませんし、どうしようかと思ってたんですけど……。昨今はロードサイド型のショッピングモールって結構流行ってますから。店舗数さえ揃えればお客さんは来てくださいます。母が亡くなってしまって故郷に錦を飾ることは出来なくなっていまいましたが、僕はここで自分の夢を叶えていきたいと思います」
セシル「トーマス様、わたしも手伝います!!」
トーマス「みんなで力を合わせて頑張っていこう、セシル」
セシル「はい!!」
ねえ、僕さっきトーマス君の部屋でこんなもの見つけたんですけど~。(ひそひそ)
セラウィス「なに?」
トーマス君の人生計画表です。これによると『ゼクゼンにて小さな店を開く→周囲より信頼を得る→父親について回り評議員達と顔繋ぎをする→評議会の末席に顔を連ねる→父親に引退を促し自分がその後釜に座る』ってなってるんですけど……他のはともかく最後のやつって……(汗)
脱線していた話を戻そう。
山道からカレリアの間で適度にレベル上げをおこなったヒューゴ達は、チャシャクランの村へと足を踏み入れた。随分長いこと寄り道をしていたからな。とうに攻略されてしまっているかと思われたが、ハルモニアの連中も早急な侵攻を求めていたわけではなさそうだ。まさしく襲撃が行われている場面に遭遇した。
そのままハルモニアの兵及びルビークの虫兵数体と戦闘し、グラスランド側に新たな援軍が顕れたと思わせることで敵兵を引かせることに成功した。
ハルモニアは本気でチャシャクランを攻め落とすつもりはなかったのだろう。相手が様子見の構えを崩さなかったために可能となった作戦だったが……アップルも目先だけではなく全体の戦況が見通せるようになったのだな。
アップルに先んじてチャシャクランを訪れていたシーザーと合流すべく村の中程へ進むと、そこにいたのはどこかで見たことのある女だった。
そう、忘れもしないゼクゼンの女騎士クリスだ。友人の仇を討とうと眼の色を変えたヒューゴを引き留めたのはアヒルだった。彼とて仲間を殺された憎しみを忘れたわけではない。だが、英雄を目指すのであるならば状況を見て行動することを覚えるよう彼はヒューゴを諭した。
ヒューゴ「軍曹は、俺に計算高くなれっていってるの?」
ジョー軍曹「そういうのとはちょっと違うな」
少しぐらいお莫迦でもいい。子供は素直で正直なのが一番だ(しみじみ)
下手に計算高かったりすると周りが苦労させられることになる。それが特に英雄と呼ばれるべき立場に身を置く者であるなら尚更だ。
カイネ「何か言いたそうですねぇ、シュウさん」
いいえ。特には何も。これは私がこれまで生きてきた中で学んだ教訓のようなものです。あまりお気になさらぬよう。
カイネ「酷いですよシュウさん~。僕だって素直なよゐこだったじゃないですか~」
ええ、人間必ずしも見掛けと中身が一致するとは限らないという素晴らしい見本をみせて頂きました。
……閑話休題。
ヒューゴに詰め寄られた後、クリスは村を出た。だが、ハルモニアがこれで引き下がったとは考えられない。チャシャクランの者達はカラヤとリザードの援軍が到着するまでの間、自分達の力量のみで戦況を切り抜けていかねばならないのだ。
そこで、シーザーが一計を案じた。ヒューゴに、炎の英雄を名乗らせようというものだ。
炎の英雄は、『真なる炎の紋章』を宿していると考えられている。ゆえに50年たった今でも少年の姿のままであると。ならばヒューゴの外見であっても充分に勤まるはずだ。あとは彼自身の演技力次第ということになる。
アップルはグラスランドが50年もの間ハルモニアの侵略を受けていないことに目を付け、炎の英雄と彼等との間で不可侵条約が結ばれていたのではないかと推察した。表面上はなにげない風を装い、影で密約を交わすのはハルモニアがよく使う手だ。
結論から先に言えば、アップルの読みは当たっていた。だが、詰めが甘い。ヒューゴが炎の英雄である証を求められ言葉に詰まってしまったのだ。
膠着状態を打破したのは意外なことに、気の進まぬ英雄役を押しつけられたヒューゴだった。ハルモニアの戦士と一騎打ちを行い、これに勝ってみせようと申し出たのだ。
応じたのはハルモニアの神官長ササライだった。ヒューゴとしては時間さえ稼げればよく、決して勝ちを収めようという心づもりではなかったようなのだが……案外あっさり勝ててしまったな。
この闘いにより、ササライにはヒューゴが偽物であることを見破られてしまったが、カラヤクランとリザードの戦士達が間に合ったのだから結果は良好であるといえよう。
チャシャクランの攻防を通じてヒューゴはますます己が英雄に近づきたいと望んでいることを再確認したようだ。そんな少年に村長であるサナは炎の英雄がいるという場所を指し示した。
その地でヒューゴを待ち受けているものは一体なんであろうか。50年もの間人々に姿を見せることの無かった炎の英雄の真意は如何なるものなのか。
ヒューゴが炎の英雄の待つ地の最終地点へ到達したところで、第三章は終幕となった。
しかし、俺には英雄というものがそれほど素晴らしいものだとは思えないな。
どういった人間が『英雄』と呼ばれる者になるのかは先のデュナン統一戦争を通じてよくわかったが。とにかく一筋縄ではいかない、ある意味常軌を逸脱した者だけがその階段を上りきることが出来るらしい。
個人的には前途有望な少年に、前轍を踏む無かれ!平凡でもいい、まっすぐに生きて欲しいと願わずにはいられない。
カイネ「黙って聞いていれば随分ないいようですよね、シュウさん」
別に貴方のことを言っているわけではありません。先達である炎の英雄とて突き詰めれば単なる盗賊に過ぎないわけですから。英雄と呼ばれる者達も紙一重であると、申し上げたまでのことです。
カイネ「……そうですか。(にっこり)解説お疲れ様でした。あっちにお茶を用意してあるんですよ。お茶菓子はナナミのお手製です。今日は特に気合いを込めて作ってましたから、もちろん食べていってくださいますよね♪」
クリス編第三章はダックの村からじゃ。
目的はチャシャクランなのだが、ナッシュは場所を知らぬでの。道案内を雇わねばならぬ。
情けないことよ。クリスにも案内人が道案内を頼んでどうすると詰られておったわ。
事実そのとおりであるゆえ、返す言葉もないであろう?
ナッシュ「うっ、……な、なんだって俺が出てくるたびにおまえさんがしゃしゃりでてくるんだよ」
決まっておろう、面白いからじゃ。……何か、文句でもあるのかえ?
ナッシュ「…………いえ、ありません……(泣笑)」
渋るアヒル共を説き伏せチャシャクランまでの案内人は確保したが、ここでカレリアまで足を伸ばすことにした。村で会ったフレッドとリコの二人と同道することになったのでな、少々レベルを上げねばならなくなったようじゃ。
山道を越え、カレリアまであと少しというところで道を塞いでおったのは、エリアボスのロックゴーレム。わらわの力を持ってすれば、このような輩一撃で地に沈めてくれるのじゃが……ここは若人たちに気張って貰わねばなるまいのう。
………………ふむ。なんとか倒せたようじゃな。……クリス一人で。
残りの者達は少し己を恥じるべきではないかえ?闘い半ばでか弱きおなごを残して倒れよってからに……。
わらわの元下僕など、最初の反撃で『一番に』気絶しおったわ。
ナッシュ「……面目ない」
クリス「も、もう少し修行させないとわたしの身がもたないな……(滝汗)」
カレリアで武器を鍛え、平頭山にも立ち寄り適度にレベルを上げたところでようやっとチャシャへ向かう準備が整った。
この様子では先が思いやられるのう……。
したが、クプトの森では取り立てて難儀をすることもなく全員が足並みを揃えて目的地に到達できたようじゃ。そこでクリスを待っておったのはシックスランのひとつであるアルマ・キナンの娘達であった。
ワイルダー「長年道案内をしているけど、アルマ・キナンの者を見たのは初めてだよ」
レット「無礼な口をきくと呪われちゃうかもしれないよ(怯)」
ユミィ「失礼ね。そんなことしないわ。……といっても、わたしたちは精霊と儀式に使える一族だからあながち間違いではないのだけれど」
ユン「ふふ……お会いできて嬉しいです、クリスさん」
クリス「あ?ああ……?」
ユンという娘は『口寄せ』と呼ばれるアルマ・キナンの巫女らしいの。精霊と語らい、先読みをする能力を備えておるそうじゃから、その力でチャシャ村の危機を察したのであろう。
じゃが外界との交流を絶っておった一族がいくらシックスランに数えられる仲間であるとはいえ、このような辺境の村を助けるためだけに姿をみせるものであろうか?
クリス達はわけもわからぬままに、娘達に導かれダックランへと引き返すことになった。そこにチャシャの危機を救う術を知る人物がいるそうじゃ。
クリス自身はゼクゼン騎士である己が、グラスランドの為に戦うことの矛盾に頭を悩ませておるようじゃが……先ほどすでに先兵たるルビークの虫使い達を剣で撃退してしまっておる。乗りかかった船と腹を括って応じていくがよかろう。
あー、俺こういうの苦手なんだけどなあ……。おい、クルガンちゃんとフォロー入れろよ!
ダックランに戻ったクリス達の前に現れたのは元同盟軍の軍師アップルと元ハイランド軍師レオン・シルバーバーグの孫とかいうシーザーの二人組だった。
ユンって娘、思わせぶりな言葉でシーザーに近づき、チャシャクランを護らせる約束を取り付けちまったぜ。口寄せって実は『口がうまい』って意味じゃねぇのか?
ユン「帰りの護衛もお願いしますね、クリスさん」
クリス「……はい……」
ユミィ「あら、すっかりユンのお気に入りね」
ユン「ふふ……」
クリス「さ、逆らえない……なぜだ……(滝汗)」
アップルがリザード達の住む大空洞に援軍を頼みにいき、シーザーはそれまでの時間稼ぎをすることになった。
けどよ、こいつの立てた作戦って『村の入り口で踏んじばり中にいれないようにすること』ってだけなんだぜ。いいのかよ、こんなんで。
クルガン「難しい作戦を立てても無駄だろう。チャシャの者達はカラヤクランなどと違い戦士の一族ではないようだからな。敵軍を見れば足が竦んで動けなくなる者も多く出よう。軍師の役目はむしろそういった者達が闘う者達の邪魔とならぬよう誘導することだ。またクリス殿達とて出会って間もない寄せ集めのパーティで、互いに信を置けるほどの関係は築いてない。この場合、作戦は単純であるならば単純であるほどいいのだろう」
そういうもんか?まあ、俺も難しいことを考えさせられるよりは思いっ切り剣を振る方が楽だけどな。
クリス達の頑張りと、後から駆けつけたアップルの機転によってこの場は難を脱することができた。だが、ヒューゴにはなんでゼクゼンの鉄頭がグラスランドにいるんだって詰られちまったな。
ハルモニアの攻撃はたぶんこれが終わりじゃねぇ。けど、ゼクゼン騎士である自分がいると団結に乱れが生じてしまう。そう考えたクリスが村を後にしようとした時、アルマ・キナンの娘二人とアヒルが追いかけてきた。
ジョー軍曹「あんたリザードの族長を殺したのか?」
クリス「何をいってるんだ?」
ジョー軍曹「いやなに、いろいろと腑に落ちないことがあるもんでね」
カラヤ焼き討ちの件は己の所業であることを認めているクリスだ。こんなところで嘘をついたりはしねえだろう。これまでの出来事を思い返すと、どうにも辻褄が合わないことが多すぎるからな。アヒルもゼクゼンとグラスランドの和平を望まない第三者の存在に気付いたようだ。
アヒルはアヒル並に考えてるってことだな。
ジョー軍曹「なんで、誰も彼も人をアヒル呼ばわりするんだ!!」
しかなねえだろう、事実アヒルなんだから。チャシャの族長サナがアンタのことを「ジョーさん」って呼んでるのを耳にしたときは、ひっくり返りそうになったぜ。アンタが「ジョーさん」って柄か?!!
ジョー軍曹「…………(いじいじ)」
ダックハルバートで地面をほじり始めたアヒルを追い返し、ユンはクリスに自分達の村へ来るように進めた。なんでもそこでクリスの探している親父さんの話をしてくれるんだそうだ。
なんでここじゃ駄目なんだろうな。
断ったところで次のアテがあるわけじゃねぇし、ここはおとなしくついて行くとするか。
……なあ、クルガンこんなもんでよかったか?
クルガン「お前にしては上出来だ。この調子で今日の分の書類も片づけてくれ」
えぇ~??!これやれば今日はもう仕事しなくっていいって言ったじゃねぇか!!
クルガン「誰からそんな約束を取り付けたかは知らんが、あいにくとこちらは聞いてないのでな。諦めて机に向かうんだな」
何時になったらおわるんでしょうね~?
あ~、今回の展開は気に入りませんでした。以上終わり!……なんていうのじゃ、駄目ですか?
アルマ・キナンでクリスさんを待っていたものは、己の父親が『真の水の紋章』の継承者でありかつて炎の運び手の一員として働いていたという事実。そして口寄せの巫女であるユンが今宵グラスランドの平和を祈願して精霊に魂を捧げるという受け入れがたい儀式でした。
生贄を必要とする儀式なんて野蛮だってクリスさんが怒ってます。やっぱり美人さんは怒ってる顔も素敵ですよね。もう、今回のポイントはそこだけって感じです。
なんていうか僕、こういう自己陶酔して運命に身を捧げる~みたいな犠牲の精神って嫌いなんですよね~。
ユン「人のことはいえないと思いますけど。貴方だってわたしと同じ……」
…………。嫌だなあ。お喋りな女の子って嫌いじゃないんですけど、時と場合によりけりですよね。ついうっかり手が滑ったトンファーが当たらないように気を付けてくださいね。
ユイリ「貴様!なんて無礼な口を……っ!!」
ユン「いいの。腹を立てられて当然のことを口にしたのだから」
はあ~、つまりはそれと同じくらい僕がユンに対して失礼なことをいったって事ですよね。言い過ぎでした謝ります。(ぺこり)
ユン「そういうことだね。でも、あなただってあの不変律を司どる人が相手なら喜んでその身を捧げるのでしょう?」
セラウィスさん?それはまあ、僕にとってはあの人が全てですし~。……ユンにとっての精霊も同じような存在ですか?
ユン「精霊はわたしが生まれたときから側にいてくれた最も近しく最も愛おしいと感じる存在です。あなたが彼に大して抱く感情と種類は少し違うかもしれないけど、大切だと想う気持ちはきっと同じだと思います」
当人が納得してるんだったら、いいんですけど~。
クリスさんは最後まで納得いかなかったみたいですよ。
ユン「優しい人ですよね。彼女はわたしが出逢った中で一番綺麗な人でした」
クリスさんを村に呼んだ理由ってやっぱり、彼女がグラスランドの為に立ち上がる決意を促すためですか?
ユン「それもあります。でもなにより、これで彼女はわたしのことをずっと覚えていてくれるでしょう?」
なるほど……それは、ちょっと羨ましいかもしれません。
ユン「彼女の長い人生の中でわたしが一緒にいられる時間はごく僅かしかありませんでしたから。このくらいの我が侭は許されますよね?」
まあ、そうですね。僕も大切な人にはずっと自分のことを覚えていて欲しいですし。惜しむらくは儀式の途中で襲撃してきた仮面の神官さんたちをクリスさんがサクッと倒しちゃったことでしょうか。あそこで負けていれば、もうちょっとストーリー的に盛り上がったんですけどね~。
儀式の翌日、クリスさんはユイリさんに地図を手渡されました。そこに記された場所に炎の英雄がいるんだそうです。
クリスさんはこんな哀しい儀式がもう行われることのない世の中になるならばと炎の英雄に会いに行くことにしました。儀式とか宿星とかじゃなく、ユンの強い想いが彼女を動かしたんでしょう。
やっぱり最後に勝つのは信念を貫き通した人なんですね。
ブラス城に入った一行は、そこでゲドにビル・デネ・ゼクゼで人と待ち合わせていることを聞かされました。彼も何かと秘密の多い人物ですね。
騎士団の者達とは以前揉め事を起こしていましたから、いつ見咎められるかと内心冷や冷やしておりましたが、城内は戦の準備に余念が無くゲド達に気を払う者はおりませんでした。ここを通り抜けることができないとなると、首都までずいぶん遠回りすることになってしまいますからね。
ゲドが約束したという相手の指示通りビネ・デル・ゼクゼの定宿に部屋を取って待っていると『北の洞窟』で落ち合う手筈を調えたとの連絡が入ってまいりました。
北の洞窟は魔物の巣窟となっている場所。特に最近は魔物達が凶暴化しており、滅多なことでは人は近づきません。危険は伴いますが、密談にはもってこいの場所でしょう。
彼が秘密の相手から連絡を受けているのと同じ頃、クイーンと夜の散歩に出ていたアイラはすれ違うゼクゼン騎士の顔を見て押さえ込んでいた感情を爆発させてしまいました。相手は六騎士のボルス。カラヤクランの焼き討ちを行った者達のひとりです。
仮にも敵の本拠地で刃を振り上げ襲いかかったとなれば、無事に済むはずもありません。共に行動していたクイーンはこの窮地に臍を噛みましたが、驚いたことにボルスは二人を見逃してくれました。彼もまた様々な経験を通じて成長しているのでしょう。
シードももう少し成長して落ち着きというものを覚えてくれるといいのですが……。
シード「ここでは関係ねえだろうが!」
人の言葉尻を捕まえる前に、仕事は終わったのか?この間も結局最後までやらずに逃げ出しただろう。今日こそは溜た分をすべて片付けるまで寝かせないからそのつもりで覚悟をしておくんだな。
シード「……くっ!」
失礼。話が逸れました。
翌朝、北の洞窟に入った一行が魔物を退けつつ最奥まで進むと、そこには騎士団のサロメと従者のルイスがおりました。彼等がゲドが約束したという相手だったのです。
ジョーカー「リザードクランの族長にカラヤの族長、果てはゼクゼンの六騎士とは……大将も随分と顔が広い」
ゲド「長く生きているのでな……」
サロメの話によると、和平成立目前だったゼクゼンとグラスランドの仲が拗れてしまったことには何者かの意図があるということ。そしておそらくその相手とはハルモニアであろうということでした。
協力を請うサロメに、エースは自分達がハルモニアの辺境警備隊に所属していることを告げますが……ハルモニアがグラスランドを制圧してしまえば彼等も職を失ってしまいます。もともと彼等と付き合いの深いカレリアは傭兵の一族でもあることですし、ハルモニアに対して必要以上に義理立てることもないでしょう。
協力体制を敷くことを約束して、ゲドはサロメに指定された場所ビュッデ・ヒュッケ城へ向かうことにしました。
さて、こんなところで今回は終わりですね。わたしはそろそろシードの様子を見に行かなくては。目を離すとすぐにサボってしまいますから。
ふむ……ビュッデ・ヒュッケ城というのは商業の自由地として発展を遂げているという話でしたが、なかなか手入れが行き届かぬようですな。
せっかく中庭があるのだから、ここはひとつ城のシンボルとなるような像を造られてみてはいかがですかな?トランの英雄像などお勧めなのだが……。
セラウィス「……レパント(にこり)」
(びくっ)うっ……失礼、つい差し出がましい口出しを。確か前回はサロメ殿に協調したところで終わったのでしたな。
彼が申し出たのは、意外なことに騎士団の邪魔立てをすること。彼等はビュッデ・ヒュッケ城を攻め落とすよう評議会より命を下されていました。
評議会というのは一種魔物の巣窟。誰もが疑心暗鬼で足を引っ張り合っております。
もし、評議員のひとりが軍隊はおろかまともな闘いを経験した者さえいないであろう辺境の城の攻略に失敗したとなればどうでしょうか。
反対勢力にとっては、相手の力を殺ぐ格好の材料となることでしょうな。これがサロメ殿の狙い目だったのです。ビュッデヒュッケ城陥落の先鋒に立っている者達こそ、ハルモニアに密通している疑いのある輩なのですから。
さらに、件の人物が城攻めに夢中になっている合間にサロメ殿が独自に進めていた調査が実を結びました。ハルモニアに荷担していた者達はその証拠隠滅と保身のために走り回らねばならなくなったのです。
これでしばらくの間は、ビュッデ・ヒュッケ城に対しても騎士団に対しても余計な口出しなどしている暇はありませんな。
彼等の争いの決着を見たゲド殿は炎の英雄に会いに行くことを決められました。
再びグラスランドの地に戦乱の世が訪れようとしている。
50年もの昔に多くの者達が血を流し傷つきながらも勝ち取った平穏が、たったひとつの国によって毀されようとしているのですぞ。このようなこと断固として見過ごすわけにはいかん!!
夜、人気の消えたビュッデ・ヒュッケ城の酒場で理由を問うジョーカー殿に、ゲド殿は初めて右手に封じていた紋章を明かしました。
そう、彼は『真の雷の紋章』の継承者だったのです。
ゲド殿とワイアット殿、そして炎の英雄は親友の間柄だったのですな。
こうして別々の人生を歩いてきたカラヤクランのヒューゴ殿、ゼクゼンの英雄クリス殿、ハルモニア辺境警備隊長ゲド殿の道がここに交わりました。
この続きは統合編第四章でお送りすることとなりましょう。
ところで像が駄目なら記念館などいかがかな?
我がトラン共和国の大統領館にはそれは素晴らしいコレクションが展示されておりますぞ。
お望みなら特別にほんの僅かな間貸し出して差し上げても……。
セラウィス「その記念館だけどね、先程また謎の爆発事故が起きてたみたいだから。貸し出しするのは無理なんじゃないかな」
せ、セラウィス殿……なんということを!
セラウィス「僕はあの場所には近づいてないからね(それはもう綺麗な笑みで)」
ううむ……(←怖くてこれ以上の追求は出来ないらしいです/笑) はっ、こうしてはおれん!急ぎ戻り、復旧作業に入らねば!!