時は満ちた、とルックは言った。
彼の師であり養い親でもある星見の女性に向かって。
天より定められたる星の動きと。
それに連動するかのように、流転する人の運命。
その全てに逆らおうとした少年を他者は愚かと呼ぶかも知れない。
神を殺すことを決意した小さき存在を世界は身の程知らずだと嘲笑うかも知れない。
けれど、どれほどに過酷な道であろうとも彼は決然と顔を上げそこに足を踏み出した。
躊躇いが無かったとはいえない。迷いは常につきまとった。
行為が大罪であるからではなく、彼は……彼等は人という存在をとても愛していたから。
始まりはリザードクランからだった。
ゼクゼンの騎士を装い、族長の命を奪い。彼等の憎しみを煽り立てた。
次はカヤラの村。村に火を放ち、怒りの波動をまき散らしてゼクゼン騎士達の激情を促した。
ルビークを、アルマ・キナンを。炎の英雄の洞窟を。
何かに取り憑かれたように巡り歩き、真の五行の紋章を探し続ける。
求めるのは彼の右手に……否、魂に絡みついた呪縛を解き放つための──運命をも凌駕する大いなる力。
土の紋章の居場所はとうの昔に判明していた。
炎と水と雷の紋章は、彼の行為により再び地上に姿を顕した。
かつてその身に真の炎の紋章を宿していたのは狡猾な男。
様々な問題を地上に残し、多くの悲劇を放り出したまま、この世を去った──英雄。
彼にとってはハルモニア支配下で奴隷生活を強いられることになった小さな村の悲哀も、紋章の在処を隠すために犠牲を払わされることとなった娘達の嘆きも問題とはならなかった。
彼は己の望むままに行動し、愛する女性と生涯を共にした。
紋章の主であるならば、炎の英雄もまた世界の終焉をその目に見つめ続けていたことだろう。あるいはその結末を眼にしたくないがためだけに彼は逃げたのかもしれなかった。
果たして、その志を引き継ぐ者は、どのような未来を選び取るのであろう。
かつての英雄と同じように、来るべき終焉から目を背けてしまうのか。
運命に逆らい続ける少年と同じように、狂気に身を委ねてしまうのか。
ハルモニアは円の神殿に使える、神官将ササライ。
ルックは彼を『兄』と呼んだ。そこのあるのは血の繋がりではなく、ハルモニアの創始者・円の紋章の継承者たるヒクサクによって作られた存在であるという『事実』。
彼もササライも真の紋章をハルモニアに留め置くための『器』に過ぎなかったのだ。
真実に打ちのめされる『兄』を見て、ルックは哀れみを感じるという。
ササライだけが世界で唯一、同情を覚える相手であるのだと。
しかしその気持ちは、当の神官であるササライに伝わることはなかった。
彼は最後までハルモニアの神官であり、土の紋章を留め置くべきものとして儀式を行わんとするルックの前に現れた。
確たる決意もなく、ただ役目のために動く者などにルックの決意が揺がされるはずもなく。
しかして僅かな迷いを残す身は、迷いなき瞳を持つ少年に今一歩及ぶことがなかった。
崩れ落ちる神殿。
他の者は逃げ去り、ただ一人取り残された……人に憧れながらも、人にはなれなかった『モノ』。
自分には相応しき墓場であろうと自嘲する彼の元に駆け寄ったのは、常に彼に付き従っていたひとりの少女。
彼女にとって彼は、100万の人の命よりも運命よりも大切な……『人』だった。
彼女は神よりも彼を選び、共にどこまでも堕ちていくことを決意していた。
狂気に呑まれた魂を救ったのは。まっすぐな眼をした小さき英雄でも、育ての親でも、ましてや古き友人達でもなく。
ひたむきに彼に想いを寄せ続けた少女の心。
その後、彼等の魂がどうなったのかを僕は知らない。
彼等の帰りを静かに待っていた星見の女性が、ふたりをどこに送りだしたのか訪ねるつもりもない。
ただ、しばしの眠りより彼等が覚めた時。彼等の立つ道が未来へと続くものであることを願う。
平坦である必要はない。細く困難なものであったとしても、その先に一筋の光明が差し込んでいるような……そこがどれほど深い闇夜であっても、やがてまた朝が訪れることを感じ取れるような、そんな道を歩んでいてくれることを切に祈る。
風に愛されし少年がその人生において描いた鮮やかな軌跡を僕は忘れない。
他の誰にもなしえなかったことを為した少女に……孤独に塞がれた魂に救いを与えてくれた少女に、感謝の気持ちを捧げたい。
季節が巡るたび、風の色が変わるたびに僕は彼等を想わずにはいられないだろう。
おやすみ、ルック。
再び星が巡るその日まで。
カイネ「は~い、というわけで幻水3ネタバレ日記は終了です。お疲れさまでしたセラウィスさん。焼き菓子を用意しましたからお召し上がり下さいね。疲れたときは甘いモノがいちばんですよ」
セラウィス「うん、ありがとうカイネ(ほやほや~~と笑って)」
カイネ「ミルクティーには少しだけブランデーを垂らしてありますから、身体があったまりますよ~」
セラウィス「うん…………あ、ルック。お疲れ様。こっちで一緒にお茶にしよう?」
ルック「まったくだね、本当に疲れたよ」
カイネ「………………せっかくセラウィスさんとふたりっきりのらぶらぶタイム(←?)だったのに~(しぶしぶ新しい茶器にお茶を注いでます)」
セラウィス「ねぇ、ルック。ひとつ訊いていいかな?ずっと疑問に思っていたことがあるんだけど」
ルック「(当然のようにカイネの入れたお茶を飲みつつ)……なに?」
セラウィス「セラとはどこで出逢ったの?彼女って円の神殿の出身だよね。ルックはあそこにはあまり近づかないようにしてたんじゃなかったっけ?」
ルック「……っ、ごほっ!(←咽せたらしいです)な、なにを急に……」
カイネ「あ、それ僕も不思議だと思ってました!あの星見のおばさんの監視をくぐり抜けて彼女をつくる甲斐性がルックにあったなんて吃驚ですよね~」
ルック「……キミ達ね……」
カイネ「でもそれ以外にもいろいろと疑問が残ちゃってますので、その一部(本当に一部です)をまとめてみました~」
マイクロトフさんとカミューさんはハルモニアで何をしていたのか。
ローレライさんとキリィさんの目的はなんだったのか?シンダル遺跡との関係は?
メグの旦那様は誰か?
ミリーはどうなったのか?(メルってミリーと服装とか似てますよね。血縁関係があるのかな?)
ボナパルトにお嫁さんは見つかったのか?(アレが繁殖してるところを想像するとちょっと……ですけどね~)
ビクトールさんとフリックさん、ついでにハンフリーさんはどこへ行ったのか?
ブライトは何を食べたらあんなに大きくなってしまったのか?(汗)
ゲオルグさんはどうなったのか?ファレナ女王暗殺事件の真相は?
ジーンさんの正体……はわからなくてもいいけですど。
カレリアの噂話でカミューさんの名前が出てこないのは何故か?
なぜトランは国の名前を途中で変えたのか?(だってデータ引き継ぐと……)
アップルの別れた旦那は誰か?(シーナのような気がしますけど)
ナッシュの奥さんは誰か?(まあ誰にせよ尻に敷かれてるんでしょうね)
リキマルの敵討ちはどうなったのか?(3に友人の敵討ちを引き継いだっていう人がでてるんですけど、あれって……)
ヒューゴ君の父親は誰か?(それはもちろん……ってここで答えを言うのは控えておくことにしますね)
ナディルの仮面の下の正体は?!(フー・タンチェンだと思ったのって僕だけですか?だって両方とも正体不明だし/汗)
ダックランに果たしてメスのアヒルはいたのか?(トカゲさんは自分でメスだという人がいたけど)
アルマ・キナンの女性達はどうやって子供を作っていたのか?
ジンバさんはゼクゼン人であるはずなのに、どうして肌が浅黒いのか(だってクリスさんは色白美人さんなのに)
ビッキーと小ビッキーの関係は?
チャシャクランとシンダル遺跡の関係は?
ルックが大きくなっているようにみえるが本当にそうなのか?だとしたら何故か?
(ササライ君が大きくなっているのは紋章を奪われていたせいらしいです。けど、ルックが土の紋章を奪ったのは3の中のことですから、その前に一度奪われているってことですよね?その辺のエピソードも知りたいですね~)
4章になるといきなり石版の遺跡が出現するのは何故か?(というかあの石版星見のおばさんが運んだんでしょうか?)
今回に限り星見のおばさんのストーキングが無かったのはなぜか?(これは答えが出ています。炎の使い手側におばさんの好みの『美』少年がいなかったからでしょうね。ストーキングはルックが受けてたんだと思います。だから本編では出てこなかったんでしょうね。/←ルック「……(怒)」)
……ついでに僕とセラウィスさんはどこへ行ってしまったのか?(とくにセラウィスさんですよね。だって外伝2のOPが……/汗)
カイネ「こんなものでしょうか?考えればまだまだあるんですけどね」
ルック「考えるだけ無駄じゃない?枚挙に暇がないし」
セラウィス「カイネ、一番重要なのが抜けているよ」
カイネ「あ!そうでした!!」
ルック「なに?」
カイネ「おばさんの次の下僕は誰になるのか!ですよ」
ルック「…………………………………………」
セラウィス「あの人に家事をする能力があるとも思えないしね。ルックがいなくなってからの星見の塔の惨状はちょっと……筆舌に尽くしがたいものがあったし」
ルック「………………(汗)」
カイネ「次作でササライ君がおばさんの元にいたら笑えますよね~。もっともササライ君が料理なんてしたことあるとは思えませんけどね」
セラウィス「それでも小さなルックがいるよりはマシじゃないのかな?」
カイネ「あはは~、本当だ~~~」
ルック「…………怖いこと言わないでくれるかい?」
セラウィス「(きょとんとして)だって、ありえそうだし」
ルック「………………僕、そろそろ行くよ。邪魔したね……(よろり)」
セラウィス「ルック?……僕、何か変なこと言ったかな?」
カイネ「平気平気♪僕たちに散々心配掛けたんですからこれくらいはいいんじゃないですかね。それに、やっと二人きりに戻れましたし。セラウィスさんお茶もお菓子もまだまだたくさんありますから、ゆっくりくつろいで下さいね」
セラウィス「う、うん……?」